脳卒中・脳梗塞

脳梗塞とは

脳梗塞とは脳梗塞とは、脳の血管が詰まり、脳の組織に栄養や酸素が行き届かなくなった結果、組織の一部が死んでしまうという疾患です。脳出血、くも膜下出血、脳梗塞の3つをまとめて脳卒中といいます。
脳梗塞とは違い、脳出血とくも膜下出血は脳の血管が破れることが発症の原因です。脳梗塞は、脳卒中の中で発症者の一番多い疾患です。 脳梗塞は脳血栓と脳塞栓の2つに分けることができます。
脳の血管が細くなって血液の流れが滞り血栓ができるのが脳血栓です。一方、他の場所でできた血栓が脳の血管まで運ばれて詰まってしまうのが脳塞栓です。

脳梗塞の原因

脳梗塞の原因にはさまざまなものがありますが、特に生活習慣病や動脈硬化が主な原因として考えられています。心臓病、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病、肥満、喫煙、過度の飲酒、ストレス、脱水症状、運動不足、加齢、遺伝など複数の原因が絡み合うことで発症の危険も高まります。

脳梗塞の症状

発作の兆候に素早く気づき、速やかに受診することが大切です。

脳梗塞の兆候

  • 突然、言葉が発せられなくなる
  • ろれつが回らなくなる
  • 片方だけ手足がしびれる
  • 手に持っているものをよく落としてしまう
  • ひどい物忘れがある
  • 頭痛がする
  • めまいがする
  • ものが二重に見えるようになる

脳梗塞を発症すると、突然こうした症状が現れる場合が多いです。 また後遺症として、身体の右半身か左半身のどちらかが運動麻痺を起こす、言葉を上手く発せられなくなる、意識がはっきりとしなくなるといった症状が残るケースがあるため、注意しなくてはなりません。

脳梗塞による後遺症

  • 麻痺症状
  • 意識障害
  • 感覚障害
  • 高次脳機能障害
  • 失調
  • 嚥下障害 など

脳梗塞の予防

脳梗塞の予防脳梗塞はほとんどの場合、生活習慣病をはじめとした基礎疾患を原因としています。
基礎疾患治療のため生活習慣を改善することが脳梗塞の予防になります。また、脳梗塞の兆候を見逃さないことが重症化を防ぐ重要なポイントです。

基礎疾患の管理

脳梗塞の原因は動脈硬化であることが多いです。動脈硬化は高血圧、心臓疾患、脂質異常症、糖尿病などを患っているとリスクが高まりますので、こうした基礎疾患の治療をしっかりと実施することが脳梗塞の予防にもなります。
生活習慣病の中でも、特に高血圧の予防が重要です。食べ過ぎに注意する、塩分を抑える、カリウムを多く含んだ野菜を積極的に取るといった健康的な食事に加え、適度な運動を習慣づけるようにしましょう。

生活習慣の改善

生活習慣を改善することは動脈硬化の進行を抑えることに繋がります。
また、過度な飲酒や喫煙も動脈硬化の原因となりますので、できるだけ控えるようにしましょう。

魚をメニューに取り入れましょう

魚の油に含まれるEPAやDHAの摂取が脳梗塞の予防に効果的です。EPAはコレステロールや中性脂肪を減らすため、動脈硬化の予防に繋がります。さらに、血液の凝固を防止してくれるので、血栓ができるのを予防できます。
また、DHAもコレステロールや中性脂肪を減らすので、動脈硬化のリスクを低下させることができます。マグロ、サバ、サンマ、イワシなどの青魚にDHAは多く含まれていますので、積極的に摂取するのが良いでしょう。

血液をサラサラにする

血栓を予防するには、血液をサラサラにすることが重要です。血液をサラサラにしてくれる作用がある物質としては、梅干しやレモンなどに多く含まれるクエン酸、納豆に含まれるナットウキナーゼ、青魚に含まれるEPA、DHAが挙げられます。
クエン酸は血液の凝固を防ぐ働きがあります。ナットウキナーゼは血栓を溶かす作用のある強力な血栓溶解酵素です。EPAは血小板の働きを調整し、血栓の発生を抑える効果があります。

水分の補給

水分不足が原因で血液がドロドロになってしまうこともあります。水分は摂取してから全身に行き渡るまで少し時間がかかります。汗をかく前に、のどが渇く前に早めに水分補給するようにしましょう。特に、起床時、入浴前後、就寝前の水分補給は大切にしてください。

肥満の解消

肥満は生活習慣病のリスク因子となり、脳梗塞にも繋がる可能性があります。特にメタボリックシンドロームは動脈硬化のリスクが非常に高い状態といえますので注意しなくてはなりません。 肥満の解消には、適切なカロリー、バランスの良いメニュー、糖の上昇を穏やかにする食べ方、運動不足解消などを意識すると良いでしょう。
また、有酸素運動も血流改善に繋がったり、血管の拡張により血管が傷つきにくくなったりと効果的です。散歩や水泳などの有酸素運動をぜひ習慣づけましょう。

過度の飲酒は厳禁

適度な飲酒はリラックス効果やストレス解消によりコレステロール低下にも繋がります。
しかし、過度の飲酒は肥満や高血圧に繋がりますので止めましょう。

禁煙

喫煙は脳梗塞の発症率を極めて高くしますので注意が必要です。

塩分を控える

過剰な塩分摂取による高血圧で動脈硬化になってしまうと、脳梗塞発症の危険性が高まります。

ストレスの上手な解消を

長期間ストレス状態にさらされ自律神経の働きが乱れると、高血圧や不整脈といった症状が起こることがあります。
上手なストレス解消法を見つけることができると良いでしょう。

日本脳卒中協会「脳卒中予防10か条」

 

  1. 手始めに 高血圧から 治しましょう
  2. 糖尿病 放っておいたら 悔い残る
  3. 不整脈 見つかり次第 すぐ受診
  4. 予防には タバコを止める 意志を持て
  5. アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
  6. 高すぎる コレステロールも 見逃すな
  7. お食事の 塩分・脂肪 控えめに
  8. 体力に あった運動 続けよう
  9. 万病の 引き金になる 太りすぎ
  10. 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ

脳梗塞の治療

生活習慣の改善や基礎疾患の治療と並行して、下記のような薬物療法を実施します。

血栓溶解薬(t-PA)

血栓や血の固まりを溶かす働きのある血栓溶解薬です。点滴により投与します。

抗血小板薬

血小板の働きを抑え、血栓ができないようにする薬です。代表的なものとしてアスピリンが挙げられます。

抗凝固薬

血液の凝固を抑え、血栓の発生を防ぐ薬です。

脳保護薬

脳梗塞の発症時に発生する有害物質を除去することで、脳細胞を守る作用のある薬です。

抗脳浮腫薬

脳のむくみをとる作用のある薬です。

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